善いヴィッチ
「さってと」

チリドッグの包み紙を屑籠に投げ捨て、田中は立ち上がる。

「あと一ヶ所寄っときたい所があるんで、もーちょっと付き合って」

田中にそう言われて連れて来られたのは。

「…………」

ランジェリーショップだった。

「やー日本最大級というだけあるね、すっげぇ品数」

男の前で下着屋に寄るとは恐れ入った。

田中も俺の事言えない。

「た、田中…何か買うのか…」

言った俺に。

「オッサン的にはこういうのってどうスか?イケる?」

有閑マダムが着てそうな黒いスケスケネグリジェを手に取って見せる田中。

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