病原侵食
嫁の立場からすれば、旦那の浮気相手なんて目障りじゃないの?それに、あれだけ浮気の証拠を送り付けてるのに、あの女は彼には何も言ってないの?



少し混乱してきた私は、情事が終わって微睡む彼にやんわりと聞いてみた。



「……ねぇ、奥さんは気付いてないの?……私達の事」


正直、彼に聞くのは怖かった。


私が仕出かした事が、暴かれそうで。


そしたら、彼は私に幻滅するのかな?



そう思うと、聞き方も慎重にならざるを得なくて。



「さぁ?気付いていないんじゃないか?いつもと変わらない態度だけど」


そう言いながら、彼は私の髪に指を絡めてくる。



良かった、彼には何もバレてない。



安堵の溜め息を漏らした私は、もう一度彼の胸に飛び込んだ。




この幸せを掴むためなら、どんなに私の手が汚れても構わない。





―――その時は、確かにそう思っていたのだ―――。

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