病原侵食
「実は私、ご主人の……奏さんと、親しくお付き合いをさせて頂いておりまして」

『……はぁ』


「それで、どうも……妊娠した可能性があるんです」


『はーぁ……。そうですか、……妊娠…ね』




優位に立っているのは私の筈。





それなのに、このオンナのブレない態度に何故か、焦燥感が募る。





「それで一度、奥様を交えてお話しする機会を頂ければ…と」


『お話しねぇ……。まぁ、いいけど。何?うちの旦那も含めて話し合いたいって事?』


「勿論です。私が妊娠していれば、当該者を抜きにして話しはできないでしょうし……」



わたしが言い終わらぬうちに、通話口に割れるように嘲笑が響いた。



何よ!?



何がそんなに可笑しいの!?






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