病原侵食
予想に反する反応に、少なからず怒りのボルテージが上がって、 つい詰問口調でオンナを詰った。



「何がそんなに可笑しいんです?アナタが捨てられるかも知れないのに、よく笑っていられますね?並みの神経してないんじゃないの?」



今日はここまで言うつもりはなかったのに。




つい、 頭に血が昇って取り乱してしまった事を後悔した。




『あらあら。言いたいことはそれだけ?いつものように脅迫めいた台詞は言わないの?』


くすりと笑いながら、オンナが私を挑発する。





相手にしたら駄目だ。



今日は中傷は駄目だ。



そう知りつつも、ついに私は堪えきれなくなり、ついには感情を爆発させた。



「……可哀想ですねアナタ。旦那さんの居場所も作ってあげられないなんてオンナとして終わってんじゃない?どうやったら奏さんみたいな人にそんな仕打ちができるのかしら。さっさと別れてよ」




気づいた時には遅かった。



『あらありがとう。今までの中傷暴言無言電話やメールと一緒に、今の発言もばっちり録音させて貰ったわ』



プツリと通話は切れた。






相手が一枚上手だったのだ。




負けた感じは否めないまま、靄を胸にその日はベッドに突っ伏した。
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