病原侵食
二人の密会は、付き合いを重ねる毎に増えていった。


最初は1ヶ月に1回ほどだったのが、やがて2週間に1回、更には1週間に一度…。


今や私にとっては彼は居なくてはならない存在になっていたし、彼もまた、私をいつかは選びたいと言ってくれた。


だけど、この頃になると多少の罪悪感と共に、彼の奥さんに対してのやりきれない感情が芽生えていたのも、また事実。



彼の言葉を信じれば、奥さんは子供と家事意外で彼の世話をすることは殆どないという。


夜の営みすら拒んでいるとも。


だけど、彼女は離婚する気がないのだ…と、困ったように眦を下げる彼を見れば、益々奥さんに対しての怒りが沸々と沸くのを止めることが出来なかった。


――彼に対しての愛情がないのなら、潔くわかれてよ。


――私の方が、彼を愛しているの。養育費とかそんな問題なら、然るべき手段で出すだけ出すから、お願いだから彼を解放してあげてよ。


誰にも言えない、誰にも相談できない関係だとは分かっている。


けれど、私はどうしても彼と一緒になりたかったのだ。



それは、あくまで世間知らずで怖いもの知らずの私が夢見た、薔薇色の世界。
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