シアワセの答え




「この生活が嫌になって、父親の所を調べて逃げ出したんだけど、もう新しい家族が出来てた。幼稚園生くらいの女の子が父親と優しそうな女の人と手を繋いでて…俺にもあんな幸せな時があったなって、泣いちゃったよ」



そう言って、吉岡くんは苦笑した。
私も同じ。小さな時はその幸せが普通だったから…今になって、両手の温もりが愛おしい。
吉岡くんに抱きしめてもらってるのに、両手が寒い。
私はその両手を吉岡くんの背中に回した。



「原田さんがいるのにごめんなさい…っ、でも、今日だけ」

「俺、梓と別れようと思ってるんだ」

「それはダメです!…私が幸せになることで、誰かを苦しめたくない」



それが原田さんなら尚更。
私を庇ってくれた人を、裏切るようなことはしたくない。



「ごめんなさい、やっぱり帰ります。」


今日だけって…私、なんて最低なんだろう。
原田さんが知ったら傷つくよ…。



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