シアワセの答え
その本人がすぐ近くにいるのも知らずに、言いたいだけ言ってトイレから出て行った。
私もしばらくしてトイレから出ると、すごい形相の礼央がいた。
「え?礼央?」
「やっぱりここにいた」
「どうしたの?汗…」
額を流れ落ちる汗を拭おうと手を出したら、大丈夫だから、と言って自分で汗を拭った。
ズキズキと心が痛む。せっかく堪えていた涙が落ちそうになって下を向いた。
「梓、」
「なっ、なに?」
「柳瀬臨太郎ってお前の知り合いか?」
「え…」
まさか、礼央から臨太郎の名前が出てくると思わなくて、礼央の顔を見てしまった。
「お前、何泣いてんだよ」
「ちが…っ」
「もういい」
チッと舌打ちをして礼央は走ってどこかへ行ってしまった。
“お前”って初めて言われた…礼央、なんでそんなに怒ってるの?
クスクスと笑い声がして周りを見るとトイレいた女の子3人がこちらを見て笑っていた。