吸血鬼は淫らな舞台を見る


「ところがその契約を破るものが現れた。血を吸うために人間を殺している族(やから)がな」


「証拠はあるのか?」

 男が歯を見せて笑った。


「いずれ証拠を突き出してやる」


「楽しみにしている」


「まわりくどいことをしなくても一気に片をつけてもいいんじゃぞ」

 老人が目尻から放射状に伸びる皺と同じくらい目を細くして訊く。

 
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