吸血鬼は淫らな舞台を見る
2階の4分の1を優先している図書スペースはどちらかといえば学校の図書室に雰囲気が近く、こぢんまりとしている。
受付カウンターでは閉館間際だというのに若い娘がにこやかに挨拶してきた。
「こんにちわ」
「パソコン借りるよ」
サトウは地元の郷土資料が並ぶ書架の隣に設置されているPCへ向かう。
「男の風貌からして過去に傷害事件を起している可能性があります。ボクシングをかじっていたかもしれません」
瑠諏が後ろから検索キーワードとなる言葉を告げ、サトウが過去の傷害事件、ボクサー、四那土町などを入力してエンター・キーを押す。