吸血鬼は淫らな舞台を見る


「殺人罪で立件できますかね?」

 瑠諏が不安な表情で訊く。


「ああ、大丈夫だ。今回押収した包丁は原さんの刺し傷と一致するさ。人類の技術も少しは信頼してもらいたい」

 サトウは瑠瑠をなだめるように言い切った。


 すると、フフッと瑠諏が笑った。

「2人で励ましあってばかりですね」


「そうだな」

 瑠諏の笑みを見てサトウは安堵しながらうなづいた。


 そのときのサトウは瑠諏の刺青のことなど、すぐに忘れてしまっていた。
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