吸血鬼は淫らな舞台を見る


「すいません。話がずれてしまいました」

 被害者の妻を責めてもしょうがなく、サトウは大人の対応に切り替える。


「夫が行方不明になったことと吸血鬼がなにか関係があるんですか?」


「いえ、まだわかりません」


「ひょっとしてそちらの方は吸血鬼?」

 由貴が微笑んで尋ねる。


「はい、そうです」

 瑠諏が正直に答えた。


「ごめんなさい。まさか警察に協力する吸血鬼がいるなんて知らなかったもので」

 由貴は謝ったが顔は笑っていた。
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