吸血鬼は淫らな舞台を見る
『SG地区の住宅街です。住所はSG区6-8-72、木造の古い一軒家に入っていきました』
「わかった。すぐに向かう」
電話を切ると同時にサトウはアクセルを踏んだ。
すぐにまたサトウの携帯が鳴った。
『警部補、家の方から男の声が聞こえてきました。様子を見てきます』
原田は緊急事態を報告すると一方的に電話を切った。
「おい、ちょっと待て!」
サトウはプープーという虚しい音に呼びかける。
「無茶しなきゃいいが……」
サトウからは苛立ちがかき消され、部下を心配する上司の表情へと変わっていた。