吸血鬼は淫らな舞台を見る


「犯人がケガをした可能性だってある。怪しい奴のDNAが見つかれば犯人逮捕への近道になる」


「わかった」

 不満顔を残さず、安本はサトウから離れていった。


 事件は3時間前、閑静な住宅街で大学生が自宅で何者かに撃たれた。


 複数の銃声と悲鳴が聞こえ、近所の人が警察へ通報した。


 最初に到着したのは近隣の派出所に勤務する警官で、駆けつけたとき、壁、テレビ画面、真っ白いソファーなどに血が飛び散っていた。


 犯人らしき姿は目撃していない。
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