吸血鬼は淫らな舞台を見る
「あら、吸血鬼を撃ったことがないのかしら?日本州の刑事さんは初心(うぶ)なのね」
由貴が上品に振る舞ったのも束の間、すぐに「えっ?!」という驚きの表情へと移り変わった。
瑠諏が後ろから由貴の首に咬み付き、ジュースをストローで吸うような音をさせて自らの体内へ血を注入させていく。
「ズズズッー……」
由貴は片手で軽く押し出して払いのけただけなのに瑠諏はよろけながら壁にもたれた。
「3分の2くらい吸わせてもらった」
瑠諏の顔には憔悴(しょうすい)した陰が滲んでいるが、それを隠すように言葉を滑らかに出した。