吸血鬼は淫らな舞台を見る
「宮路由貴の血を吸ってから40分経ったんだが、ずっと舞台を見ていたのか?」
「ええ、とても楽しい舞台を見せられました」
瑠諏は自分の特殊能力に嫌気が差すような言い方をした。
「病院に運びはしたが、医師が二の足を踏んで処置はしなかった」
「なにもしてくれないほうが助かります」
「吸血鬼の血を吸うと長時間舞台を見ないといけないのか?」
サトウは素朴な質問をぶつける。
「宮路由貴の場合は特別かもしれません」
「血を吸うためにかなりの人数を殺していたということか?」
「舞台を見た限り14人くらいですかね」
「そんなに……」
サトウは言葉を失う。