吸血鬼は淫らな舞台を見る
「今回の事件はとりあえず宮路晋吾を見つけることができたし、おまえが得意の速攻で片付いたな」
サトウが冗談めかして言った。
「原田さんは大丈夫なんですね?」
瑠諏はサトウの目を見ないで尋ねる。
「元気だ。なんともない」
明るく振舞って話の内容を軽くしたのに瑠諏は初対面のときのような素っ気なさに戻った気がした。
「宮路由貴は?」と訊いたときには視線を合わせてくれてサトウは内心ほっとする。
「それが……わざわざ連邦捜査官がやって来て連れていったよ」
サトウはお手上げとばかりに両手を広げて大袈裟なポーズを取った。
「連邦捜査官?」