吸血鬼は淫らな舞台を見る
突き当たりに褐色の木製のドアがあり、瑠諏は凸凹の少ない古風なカギを差し込んでドアを開け、パチッと照明のスイッチを入れた。
元カフェは焼き物をする窯のように奥行きのあるレンガ造り。
楕円形で光沢を放つ無垢材のカウンターが店内の真ん中に設置され、内側に流し台や冷蔵庫があって調理場になっている。
間接照明や使っていた食器類、調理器具などはそのまま残されていて、明日にでも新装開店できそうな雰囲気が漂う。
瑠諏が買ったものといえば入口のドアの横にある飾り枠がない質素な鏡だけで身だしなみ用として壁にかけた。