吸血鬼は淫らな舞台を見る
瑠諏はカウンターに沿って並ぶ座面が赤い合成皮革のスツールに腰を下ろした。
スツールの数は楕円形をグルッと一周して全部で31個。
入口の手前から6個目のスツールだけがなぜか裏返しにされ、アルミ製の脚の部分を上にしている。
カウンターの上には店内のデザインとは不釣合いな古い黒電話がひとつ。
すべての疲れを一気に出してしまう勢いで瑠諏は天井に向かって顎を突き上げた。
「フゥ~」
余力も吐き出してしまったのか瑠諏はカウンターに頭を擦り付け、目を閉じて真っ暗な世界で安眠した。