吸血鬼は淫らな舞台を見る


 瑠諏は夢を見た。


 幼い頃の苦くてつらい思い出。


 いつも見る夢は一緒だ。


 西洋風の広い部屋。


 髪の毛が落ちただけで音がしそうな静かな環境で赤い液体……たぶん血液だと思うが、並々と注がれたワイングラスがテーブルに隙間なく置かれていた。


 目で追って数えても飽きてしまうくらいの膨大な数。


 突然、横からニョキと腕が伸びてきてワイングラスを強引に口元へ運んでくる。


 顔を背けてもぴったりくっついて迫ってくる。


 唇を噛む勢いで口を閉じたが鼻を摘まれ、呼吸が苦しくなり口を開放させると次から次へと血を飲まされる。
< 251 / 421 >

この作品をシェア

pagetop