吸血鬼は淫らな舞台を見る


 プロの殺し屋がちょっと見ただけで見つかるヘマはしないか……。


 警戒感を排除せず、車に近づいた。


 バン!とワゴン車の後部座席のドアを蹴飛ばして一人の男が出てきた。


 黒いサングラスを外し、夜空に浮かぶ月を一瞥してから大声で叫ぶ。

「元気そうだな!」


 気安く声をかけてきた男の第一印象はあまり良くない。
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