吸血鬼は淫らな舞台を見る


「はじめまして……じゃ、ないようですね。名前を教えてもらえますか?」

 瑠諏は頭を下げてから尋ねた。

 男の身分など訊きたいことを頭の中で整理していた。


「まるでVTRのように毎回同じことを聞くんだな」

 男は下っ腹を揺すって笑った。


「すいません。三歩あるくとニワトリのように忘れてしまうみたいです」

 瑠諏は鼻先を手でかきながら冗談まじりに応えた。
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