吸血鬼は淫らな舞台を見る


「どなたかしら?」

 暗闇に慣れていた目を凝らしながら正面を見詰める。


 真ん中で背の低い中年男がニヤつき、向かって右側は屈強な男、左側にはお揃いの黒いスーツの細身の男。

 そしてやや後ろに地味な服を着た40代くらいの女が、車に寄りかかりながらつまらなそうにハイヒールを爪先でプランプランと揺らしている。


「連邦捜査官だ」

 背の低い男が写真付きの証明書をチラッと見せた。


 名前は剣未克彦。


「ちょっと待ってよ。連邦捜査官がこんなことしていいと思ってんの?」
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