吸血鬼は淫らな舞台を見る


 バーンという椅子の破壊音のあと、バラバラになった木片が散らばり、由貴は鎖から解放された。


「ぐっ……」

 細身の男は頭から血を流して倒れた。


「ガソリンは消防法で認められた金属製の容器に入れてね」


 由貴は細身の男のポケットからライターを探り当てた。

 シルバーメッキの表面にダイヤモンドカット模様が施してある高級品。


 そして、ポリタンクが空になるまでガソリンをかけた。


 由貴はライターのローラーを親指で回して青い炎を出すと問いかけた。

「聞きたいことがあるの」
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