吸血鬼は淫らな舞台を見る


「な、な……んだ……」

 細身の男が痛々しく口を開く。


「瑠諏という吸血鬼が住んでいるところを教えて」

 由貴が命令口調で訊く。


「そ、それだけ、で……た、助けてくれる……のか?」

 声と体を震わせながら尋ねてくる。


「ええ」


「本当……か?」


「ええ」

 細身の男は安堵の表情を浮かべると瑠諏の住所をあっさり吐いた。
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