吸血鬼は淫らな舞台を見る
「まさかその恐竜のような生き物が吸血鬼の親だって言いたいんですか?」
「そうよ」
瑠諏は“馬鹿馬鹿しい”と思ったが、口に出すのは思いとどまった。
「本当の話よ。その生き物はうるう年の4年ごとに2個ずつ卵を産み落としたらしいわ」
由貴は瑠諏の目に浮かぶ不信の色を振り払うべく、説明を加える。
「具体的な数字を持ち出されても信憑性は感じません」
「信じるか信じないかはあなたの勝手よ。私たちが吸血鬼と呼ばれるのは血を吸うというだけで古典的な怪物の名前をつけられただけなんだから。それにちゃんと鏡に映るでしょ」