吸血鬼は淫らな舞台を見る


「まさかDF地区の自宅に帰ったとでも言うんじゃないだろうな?」


「違うわよ。きっと坊やのところだわ」


「あの女が瑠諏のところへ?根拠はあるのか?」

 剣未は意外な答えを聞かされて顔をしかめる。


「私が坊やの話をしているとき、一瞬だけすごい目で睨まれたから」


「女の勘ってやつか」


「ええ」


「行ってみるか」

 剣未の表情は心なしか緩んでいた。
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