吸血鬼は淫らな舞台を見る
由貴は以前の原型をとどめていない本物のジョン・ドゥと鏡の前に立つ偽者のジョン・ドゥを見比べ、そして、本物のジョン・ドゥの手を握った。
“アイシテル”の言葉の魔力は由貴の心を完全に奪った。
「魂は、お、おまえに……あ、あずけた……自殺、じ、じゃない……ぞ」
本物のジョン・ドゥは偽者のジョン・ドゥへ死の伝言を渡した。
その台詞を聞いたとき、由貴は手を握っているのは瑠諏じゃないと悟った。
カチッというスイッチを押す音がかすかに聞こえた。
強烈な爆発音と爆風が周囲を包んだ。