吸血鬼は淫らな舞台を見る


「まぁ、いまの説明はもしバレた場合のための表向きのこじつけで、本当は吸血鬼たちを騙すための作戦じゃ」


「吸血鬼に人間を襲わせないためにやってるのね」


「デマやプロパガンダを巧みに活用するのも我々の仕事だ。実に効果的じゃろ」

 老人は気持ち悪いくらいの満面の笑みで自我自賛する。


 女はその顔を直視することができず、今回会いに来た目的を告げることにした。


「ところで……」


「わかっておる。報酬はそこじゃ」

 老人が指をさした先には赤い色の箱がひっそりと置かれていた。
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