吸血鬼は淫らな舞台を見る
再び体を震わせると赤かった目が黒い虹彩へと戻った。
瑠諏は無言でお酒が並べられているキャビネットの上の写真立てを睨む。
写真は南の海らしき綺麗な砂浜で撮ったと思われ、3人が写り込んでいる。
「この男です」
瑠諏が指さしたのは右の男性。
左は女性で真ん中は被害者の青年。
「父親じゃないのか?」
サトウが声を張り上げて訊く。
「そうでしょうね」
瑠諏が冷淡な笑みを浮かべて答えた。