吸血鬼は淫らな舞台を見る
「そんなものは証拠にならん」
「私は血痕を舐めるとその血がどのような状況で流れたのか客観的な映像として見ることができる特殊能力を持っています。映像の中身は常に洒落た舞台を観賞するような感覚です」
「そんなこといますぐ信じろと言われても理解できるわけがない」
サトウの理にかなった発言に原田もうなづいた。
「わかりました」
瑠諏は散らばっていたビール瓶の破片を拾うと「失礼」と言って原田の手の甲を尖ったガラス片で切った。
「なにするんだ!」
原田が手を引っ込めて傷を確かめようとするより前に、瑠諏は腕を掴み、指で血をすくって舐めた。