吸血鬼は淫らな舞台を見る


「ひっ……」

 原田は短い悲鳴を上げた。


「おい!」

 サトウがたまりかねて胸を突こうとすると、瑠諏は手のひらを伸ばして寄せ付けない。


「ちょっと待ってくださいね」

 瑠諏がさっきと同じく体を震わせ、目を赤くして、突っ立ったまま動かず、マネキン人形のようになった。


 間もなくすると目を開けた。


「原田さんでしたね」


「ああ」

 原田は手の甲をかばいながら返事をした。


「あなた、真面目ですね。熱心に聞き込みしている様子が見えましたよ」


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