吸血鬼は淫らな舞台を見る
「あたりまえだ!」
原田が怯えながらも怒りをつのらせる。
「しかし……」
瑠諏は意味ありげに言葉を切った。
「しかし、なんだ?」
訊き返したのはサトウで、瑠諏は軽く咳払いをしてから問いかけに答えた。
「斜め向かいに住んでおられる近藤さん宅の奥さんから午後7時くらいに近所の誰かが杉内家に向かって『うるさい!』と大声で叫んだと原田さんがサトウさんへ報告したと思いますが、原田さんはすでにその人物の絞り込みに成功しています」