吸血鬼は淫らな舞台を見る
「ごくろう」
サトウが労いの言葉をかけると小太りの男は他にも仕事が残っているのか体を揺らして去っていく。
クリアファイルからクリップに挟まれた報告書を取り出してサトウが目を通した。
少しびっくりするような顔をしてそのまま瑠諏に引き渡す。
瑠諏は報告書を眺めたあと、クリアファイルを原田に渡して無表情で語りはじめた。
「息子さんが吸っていた白い粉の成分が……わかりました」
もったいぶった言い方をして瑠瑠は間をつくった。
「天然のハッカのメントールが99.9パーセントで残りの微量な成分は香料。つまり清涼菓子です。息子さんは粉状のお菓子を吸っていただけなんです」