吸血鬼は淫らな舞台を見る
「吸血鬼が人間に同情するとは驚きだ」
サトウは皮肉るように言った。
「同情?違いますよ。自首してもらわないと事件を速攻で解決できませんから最後まで我慢したんです。いまのところ杉内武さんは病院内で騒ぎを起した発砲罪と器物破壊罪で警察に連行されただけです」
「あの様子だと息子のことも正直に話してくれるだろう」
サトウは警察の威信をかけて強気の姿勢を示した。
「それはサトウさんの腕しだいですね」
言い方は冷たい印象を受けるが、瑠諏の目は笑っていた。