吸血鬼は淫らな舞台を見る


「どうも」

 えらく不機嫌というわけでもなければ愛想が良いともいえない無表情を瑠諏は出前のソバを食べていたサトウにぶつけてきた。


「まぁ、座ってくれ」

 原田が席を外していたので隣に座らせた。


 原田の性格からすると会話に割り込んでくることも考えられるので、近くにあるレストランの割引券を渡して意図的に追い出した。


 パーテーションの上と横から盗み見ようとするいやらしい目をサトウは睨みをきかして退けた。


 わざとらしい咳払いをして視線がやっと散らばる。
< 82 / 421 >

この作品をシェア

pagetop