吸血鬼は淫らな舞台を見る


「そこに残っている血の跡を舐めて事件の映像を見ることは可能なのか?かなり年月が経っているんだが……」

 サトウがはやる気持ちを抑えて訊く。


「鮮明な映像としてどれだけ蘇るかはやってみないとわかりません。この写真を見るかぎり、厄介な作業になることは間違いないと思います」

 瑠諏は深刻な顔をして答えた。


「まったく見えないということがないのならそれで十分だ。少しでも証拠になるようなことが掴めればそれでいい」

 サトウの表情がやや明るくなる。


「警察に血液などの証拠は保管してないんですか?」

 瑠諏が疑問を投げかける。


< 84 / 421 >

この作品をシェア

pagetop