ブルーローズの恋人
170センチに届きそうなスラリとした身長に、肉付きの薄い身体。
しっとりと濡れた艶を持つ黒髪は襟足まで伸ばすに留め、少し長めの前髪が長い睫に縁取られた瞳を見え隠れさせている。
高校生くらいまでは女性的な雰囲気は薄く、印象としては「美少年」と形容するのが近かった。
高校を卒業するまで噂や中傷といった類が燻っていたが、大学生になってからは幾分かマシになった。
自分に対する興味が漸く薄れてくれたのだと思っていたが、周囲は美しく成長した真那に対して何も言えなくなってしまっていた、というのが実情である。
女性的でも男性的でもない、どちらとも属さないような中性的な美貌。
真那自身は、そんな自分の容姿にまるで無自覚なのだけれど。
そんな真那とは対照的に妃那は可愛らしい女の子だった。
真那と妃那は二卵性双生児である。けれど、同性の双子でありながら二人は全くと言って良い程似ていない。
顔も、容姿も、何一つ。
身長の高い真那に対して、妃那の身長は150センチちょっと。
小柄な容姿に小動物を思わせる愛くるしい顔立ち。
柔らかなピンクブラウンの髪は緩いカールとウェーブを描いて背中の真ん中くらいに届いている。