ブルーローズの恋人

色鮮やかな瑞々しい果実を飾って、甘い生クリームをふんだんにデコレーションしたような、可愛い可愛い女の子。

妃那は真那が望んでもなれなかった、可愛らしい女の子の姿だった。

妃那と見比べられてしまうのは日常茶飯事だ。
それこそ幼少の頃から付き纏い、二人が双子だと言ってもまず信じて貰えない。

一時は妃那の容姿に嫉妬していた事もあったけれど、八つ当たりをするだけ惨めな思いをするのは真那だけだ。
自分がこんな姿で生まれてしまったのは妃那のせいでは無い。
頭で理解していても、心で我慢するのは苦痛を伴った。

周囲の視線や噂は真那の心を容赦なく痛めつけ深く傷を抉る。

一々相手にしている方が馬鹿らしくて、全て無視するようにしているが――本人に聞こえるように騒いでいるのは癪に障る。

真那の容姿をネタに盛り上がる彼女達の声の大きさに釣られて、近くに座っていた学生達がチラチラと此方に視線を寄越して来る始末。

< 6 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop