ブルーローズの恋人
(早く食事を終わらせて離れよう……)
聞こえていないフリをしながら食べかけのサラダを手早く口に運び、アイスカフェオレでそれを喉に流し込む。
急に、ガタっと椅子の音が響いたのに顔を上げると、立ち上がった妃那が笑い声を挙げる女生徒のグループのテーブルに向かっていた。
「……っ妃那…!」
慌てて止めようと真那も立ち上がったが、バンっと激しい音がテーブルから上がった。
「ヒトの妹をネタにして笑うのがそんなに楽しい?」
テーブルを叩き付けた妃那の一言に彼女達は凍りつき、その場のざわめきが一瞬にして止まる。
大人しくなった彼女達を一瞥して妃那は踵を返すと、食べかけのベーグルサンドを包み、飲みかけのアイスティーを一緒に袋へ仕舞った。
「向こうで食べよう、真那ちゃん」
「え、あ……」
呆気に取られている真那の手首を掴んで引っ張りながら、妃那はカフェテラスを離れた。