あの頃…
「へー、看護学校入ったの」

じゃあ、将来はもちろん

「黒崎病院に就職するんだー」

そう言って照れくさそうに笑う彩良に、

「黒崎病院期待の新星だね」

そう微笑み返す

「でも、新入早々入院で休学だよ」

何時になるのだろうか、自分があそこを卒業するのは

ぽたぽたと落ちる点滴の感覚は懐かしくもあり、忘れてしまいたい記憶だ

「大丈夫。その分彩良ちゃんは誰よりも患者さんの気持ちがわかる看護師になれるから」

うちは学歴よりも人物重視だからね

各言うしるふも神宮寺の推薦入社のようなものだ

「じゃあ、黒崎先生に頼もうかな」

「あ、それ間違いないよ」

なにせ相手は黒崎病院跡取り息子の肩書を持つのだから

「でも黒崎先生、お前の腕で俺の推薦がとれるとおもうなよ、とか言いそう」

「彩良ちゃんよくわかってる」

そう言いながらも最終的にきっと内定者名簿に彼女の名を付け足すに違いない

そう言うところ、本当海斗らしい
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