あの頃…
「…はあ」
これはため息、ではない
大きな緊張から解放されたときの安堵から来る深呼吸
屋上を抜ける風は、穏やかで
目をつむればそのまま寝てしまえるんじゃないかと思えるほど
倦怠感が満ちている
終った、無事に
そのはずなのにまだその感覚がなくて
そっと握る手は、まだ緊張に満ちているような気がした
「立花」
ドアが開く音の後の、低い声
ゆっくりと振り返れば、薄暗闇に浮かぶ海斗の姿
しるふの腰かけているベンチに自身も腰を下ろす
手をのばせば簡単に届く距離
「黒崎先生」
彩良ちゃん
「塔矢がついてる」
だから大丈夫
その言葉に、無意識にほっと肩を落とす
見上げれば真っ黒な空に点々と星が輝いている
静かに吹く夜風は、ひんやりと頬を撫でていく
これはため息、ではない
大きな緊張から解放されたときの安堵から来る深呼吸
屋上を抜ける風は、穏やかで
目をつむればそのまま寝てしまえるんじゃないかと思えるほど
倦怠感が満ちている
終った、無事に
そのはずなのにまだその感覚がなくて
そっと握る手は、まだ緊張に満ちているような気がした
「立花」
ドアが開く音の後の、低い声
ゆっくりと振り返れば、薄暗闇に浮かぶ海斗の姿
しるふの腰かけているベンチに自身も腰を下ろす
手をのばせば簡単に届く距離
「黒崎先生」
彩良ちゃん
「塔矢がついてる」
だから大丈夫
その言葉に、無意識にほっと肩を落とす
見上げれば真っ黒な空に点々と星が輝いている
静かに吹く夜風は、ひんやりと頬を撫でていく