あの頃…
着替えを終えて、ナースステーションに戻る莉彩と医局の前で別れる

「お疲れ様でーす」

ドアを開けると見慣れた顔ぶれ

「あら、立花先生。お久しぶりね」

お元気そうでなりより

嬉しそうに微笑んでくれるのは神宮寺

ほっと息をつきたくなる暖かな医局を見回すが、そこに海斗の姿はない

「お久しぶりです、医局長」

黒崎先生は?

「黒崎先生ならさっき出てったわよ。内科か小児科か整形外科じゃないかしら」

神宮寺の回答に、呼び出しておいたのだからせめて待っていてくれてもいいんじゃないかとふと思う

でもすぐに海斗がそんなことするわけないと思えてしまうのが哀しきかな

「ごめんね。クリスマスイヴに呼び出して」

しるふの細められた瞳の先にある海斗の机

その心境を読み取ってか神宮寺が口を開く

「黒崎先生に一般的な感覚は通用しませんね。キリシタンでもないのに何を祝うって言われました」

「本当に申し訳ないわ」

妙齢の女性をクリスマスイヴに呼び出しておいてその要件が仕事柄で

しかもした心のしの字もないなんて本当に
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