あの頃…
最終章

彼と彼女の秘め事

季節は巡る

ずっとずっと

何度だって

くるくると廻っていく


「おっはようございます!!」

勢いよくドアを開ければ迎えてくれるのは温かい瞳

「おはよう、立花先生」

そして、お帰りなさい

神宮寺を筆頭に、声をかけてくれる医局員たち

「ただいまです。これからどうぞよろしくお願いします」

嬉しそうに晴れやかな笑顔を見せる彼女が纏うのは、研修医用の衣服ではなく

真っ白な白衣

でもその笑顔は変わらず無邪気だ

「立花先生の席は、そこね」

指で指示されたそこに視線を送れば真新しい机

何も乗っていないその隣

これまたきちんと整頓された机

海斗の机だ

いつも以上に整頓されたそれに、そういえば今日はまだ姿を見ていなかったと首をかしげる

「おはようござ、しるふ!」

おかえり!!

無言で海斗の机を睨み付けていると医局のドアが開き、飯田莉彩が顔を覗かせる
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