あの頃…
「私!絶対黒崎先生超えてみせますから!!」

宣言、というより宣戦布告

そう聞こえるのは、相手がしるふだからか

「お前が?」

俺を?

「はい!絶対に!!」

「無理」

間髪いれず返される海斗の言葉に、向けられるブラウンの瞳が、むすっと細まる

「そう言ってられるの今だけですからね。あっという間に追いついて、追い越してやるんだから」

ああ、でもしるふなら

この真っ白でまっすぐな花なら

いつか追い越していくのかもしれない

それも悪くない

「追いついて追い越していくのは勝手だが、俺は待ったりなんてしないからな」

「望むところですよ。待っててもらってもうれしくないですから」

黒崎先生はどんどん先を歩いて行ってください

でもほんの少し立ち止まって振り返ってくれたらうれしい

ちゃんとしるふが後ろを歩いているのか確かめてくれたら

それだけで十分だ
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