あの頃…
荒療治

なんと海斗らしいことか

「…いい加減じゃじゃ馬扱いやめてください」

「立花が人の決心も知らず走り出すのが悪い」

そうやって止まらないのはしるふで、それにどれくらい振り回されたことか

「…おっしゃる通りです」

その節はすみませんでした

思い出されるのは、今思えばものすごく海斗に迷惑をかけた日々

離れていった手を少し名残惜しく思いながら、そっと鼻をさする

「…黒崎先生の決心てなんですか」

見上げれば、一瞬ののち外される視線

「立花は、不器用だから」

「否定します」

「あと、立花を医者に育てようと決めたから」

「…それは、お願いします」

「だから3年位待とうかと思ってたのに」

なのに

「勝手に詰めやがって」

言いながら今度は頬を引っ張ってみる

「だから!痛いですって!!つかただの言いがかりじゃないですか!?それ!」

私悪くない!!

思いのほかよく伸びる頬をつまみながら、ああ、どうしてこれに落ちたんだろうと一人自問する
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