あの頃…

エピローグ

あれから4年あまり

お互いがお互いを想っていることをなんとなく悟りながら1年を過ごし

付き合い始めてから3年

たくさんの想い出が詰まった日々

何一つ忘れていいことなんてなくて

何一つかけていいものなんてない

そう思えるのは、未だに海斗に恋をしているからか

ふと視線を上げた先には、その愛しい姿

今ではすっかり優しい、穏やかな光を宿すようになった瞳

「海斗」

呼べば、必ずその瞳が見つめてくれる

一瞬わからないほどかすかに細まる瞳

その瞳がしるふを認めて優しい光を宿すのを知っている

「お待たせ」

「なんだ。今日は時間通りだな」

もたれていた塀から背を離しつつの海斗の言葉

「失礼ね、これが私の普通よ」

睨んでくる瞳は15センチほど下から

「明日槍が降ったらしるふのせいだな」

「ちょっと、まるで私が遅刻魔みたいに言わないでくれる?」

心外ー

「10回に1回位しか予定通りこないやつのことを世間一般では遅刻魔と呼んでだな」

「ちょ!逆!10回に1回の頻度で遅刻でしょ!」

「そういうことにしといてやるよ」

そういって歩き出す海斗の背をむすっと睨みつける

「ねえ、海斗」
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