あの頃…
「あ、ねえ海斗」

夕焼けに伸びる二つの影

その隙間はもうどこにもない

「私、ずっと海斗に聞きたいことがあったのよね」

記念日だし、答えてよ

見上げてくるブラウンの瞳は出会ったころと全く変わらない

「…聞いてから考える」

「えー、答えてよ。時効よ、時効」

はたしてしるふとの恋に時効なんてあるのだろうか

「で、聞きたいことっていうのは、海斗がいつから私のことを好きだったのかな、ってこと」

この3年で最大の疑問と言ってもいい

「それ前にも聞かなかったか」

「聞いた。けどちゃんと答えてくれなかったじゃない」

私の中ではまだ疑問なの

「なんでいらないことばっかり覚えてるかな」

ふと逸らす視線

「何?何か言った?」

精一杯見上げてくる瞳が怒ったように細められているのが手に取るようにわかる

「何も言ってない。それとその質問には前に答えた」

「しるふよりは前だと思う。それが答えだって?」

私がそれで納得するとでも?


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