あの頃…
「たち…」

海斗が呼ぶのとしるふが勢いよく椅子から立ち上がるのは同時

しかも海斗の声が椅子の音にかき消される

「今忙しいんです!!」

そう言い残して椅子を派手に放り出したまま医局を出ていくその背を見送って

ため息とともに肩を落とした


「佐々木さん」

しっかりと視線が合うのを待ってから

「その男、連れてくるから。だから居場所教えて」

そして

「言いたいこと言って、殴っても良いって思うなら殴って、それでおしまい」

けり、つけましょう

自分に

自分の想いに

「先生」

「大丈夫。私姉に仕込まれた護身術あるから」

可愛い妹に何かあってからじゃ嫌だもの、そう言って仕込まれた護身術

こんなところで役に立つ日が来るとは思わなかったけど
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