あの頃…
「黒崎先生も苦労しますね、あの花が相手だと」

でもそれ完璧に私情ですよ、なんて愚問は口にしない

だって

「最近どこで何を間違ったんだろうと自問する回数が増えててな」

自分でも末期だと思ってる

そう口にする海斗の瞳は、けれどとても優しいことを

あの花がとても大切で、時々本人も扱いに困っていることを

よく知っているから

だからずっと見守っていようと思う

「心中お察しします」

最近思うのは

この飯田の理解力と洞察力をほんの少しでいいからあれに分けてほしいということ

やはり何かを間違っただろうかと息をついたとき、3番外来の扉が開いた

「お大事にねー」

飯田と二人、同時に視線をやれば、

母親に抱かれ帰っていく少年に笑顔を向ける花こと立花しるふ

黒崎病院のマドンナの異名をもつ、ERの花

そして未来の黒崎病院夫人(予定)

海斗曰く、泣き虫で意地っ張りで強情で、負けず嫌いでおまけにさびしがり屋のどうしようもないやつ、である
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