あの頃…
絡められた指先

伝わる体温に未だに慣れない自分

その指にそっと力を籠めたらどんな顔をするのだろう

驚くだろうか、それともそっと笑ってくれるだろうか

合わせてくれるようになった歩調で目的のピザ屋まで歩く

そうそう、海斗と付き合うようになって自覚したことがもう一つ

背が高いとそれだけで目立つ

187×170㎝カップルが歩いていたらただでさえ目立つのに

それに拍車をかけているのが海斗の容姿(本当はしるふもだが)

そのうち雑誌の編集者とかに声をかけれるのではないかとふと思った

「あ!生ハムピザですって黒崎先生!!」

これ、これ絶対頼みましょう!!

店先に置かれた手書きの看板にしるふが瞳を輝かせる

ああ、これだから酒飲みは

なんて思うと同時に

ああ、やっぱりどの店かなんてどうでもいいのに、と思った

しるふにそれを伝えることはまだしないけれども
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